今年度は、プログラムのモデルとする水圏環境評価研究に加えて、試行プログラムを作成して実際に小学生との学習に用いた。水圏環境評価研究は、昨年度も行った盛川水系の調査と、波打ちぎわやアマモ場での仔稚魚調査の他、水田地帯での調査も行った。その結果、ダムによる環境改変の持続や食物連鎖系の変化、波打ちぎわなどにおける仔稚魚の動態、水田地帯の用水路の特性と生物の利用に関する知見など、学習プログラムに利用可能な新知見を多く得た。また、小中学校教科書の単元を精査し、水圏環境評価研究を応用した試行プログラムを作成した。 試行プログラムは、岩手県大船渡市内の小学校から依頼された体験学習の際に実施した。発泡スチロール製の浮きとストップウオッチを用いた流速の測定(計算を含む)や、屈折式塩分濃度計を用いた上流から河口、海までの連続的な塩分濃度測定、それぞれの環境に生息する生物相の変化など、理科のみではなく、算数なども取り入れたプログラムは、参加者や小学校の先生にも好評であった。今回は小学6年生が対象であったが、参加児童の半分は学校交流で神奈川県から訪れた児童であった。 最終年度に目標としている特別企画展に向けて、本年度は昨年度に実施した特別共同企画展「奇跡の海三陸~その豊かさの秘密に迫る~」の展示物を再利用した、ローカル線(三陸鉄道)駅なか展示を行った。これは、水圏環境評価研究の成果をベースとしたもので、地域の児童生徒が気軽に訪れることができるよう駅構内の一部を借りて行ったものである。
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