研究概要 |
博物館は文化財,歴史資料,芸術作品等の多種多様な資料を収集し,調査研究に供するとともに,人類共通の財産として保存管理を厳格に行っている.新たな資料情報を獲得するための支援及び資料情報の活用を促進する手法を検討するため,本年度では下記に示す事項について研究を行った. 1)多様な資料情報を画像化する手法の検討:情報エンコード手法の検討 資料分光情報に着目し,人間の目には不可視となる成分に資料情報を付与する手法を検討した.また,文献あるいはデータベース等に記されている資料情報を記号化する手法を検討した.汎用的記号としてバーコードに代表される複数のマーカに着目し,その有用性を検討した. 2)画像化された情報源から所望情報を抽出する手法の検討:情報デコード手法の検討 ・デコードすべき状況として博物館展示室を想定し,資料はガラスケース内に展示されているが,来館者はその資料に関する詳細情報を得たいという設定を行った.さらに,資料調査における応用を意図して,資料熟覧のためのデコードに関する状況も検討対象とした. ・カメラとプロジェクタを連動させたデコード情報の提示手法を検討し,カメラで識別されたバーコードあるいは各種マーカを入力源とするデータベース利用方法の検討を行った. 3)プロトタイプの運用と改善 昨年度の研究に引き続いてプロトタイプの運用と改善を行い,博物館展示及び資料研究への応用について研究した.試験的なミニ展示を想定して,カメラとプロジェクタから構成される卓上型の資料閲覧システムの構築を進展させ,情報提示手法の検討を行った。プロトタイプでは,AR(Augmented Reality)技術を応用し,博物館来館者が資料に触れているかのようなユーザインタフェイスと,利用者が所望する領域への情報提示手法の検討を行った. 今年度の研究成果として,学術雑誌論文2件,学会発表3件を行った
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