研究概要 |
子供たちの理科離れが指摘されるようになって久しい。自然史系博物館,科学館などの社会教育施設の活用は,子供たちの興味・関心を引き出し,状況の打開に寄与することができる。一方,博物館にとっても,地域の学校と連携し,理科教育の向上に助力することは,子供たちの来館の増加,活性化につながると考えられる。 本研究は,自然史系博物館と地域の学校とが連携し,児童・生徒に本物の標本等に触れるという博物館体験をさせることで理科学習への意欲を高め,博物館に親しみを感じさせるような,地域密着型の博物館活動のあり方を模索し,検証しようとするものである。 初年度である平成20年度は、既存の資料を活用して学校と連携した教育プログラムの実践事例を蓄積しつつ、来年度以降に向けた標本、資料の整備をおこなった。 学校と連携したプログラムでは、愛知県犬山市内の2つの中学校と特に密に連携し、2年生の理科と3年生の選択科目において、教員と協力してプログラム作りと実践をおこなった。2校のうち1校では、さらに校区の小学校3校にも連携を広げることができた。 これらの連携事例については各種学会、研究会において研究発表をおこない、博物館関係者、教育関係者らから意見、助言を求め、プログラムの改善に役立てた。 これらの実践を通して浮かび上がった課題を参考に、プログラム改善の方策を探り、標本や資料の整備をおこなった。特に、児童・生徒に扱わせるには危険のあるホルマリン液浸標本について、一部臓器の樹脂包埋標本とニホンザル新生児の樹脂含浸標本を作成した。これらの標本は次年度以降のプログラムにおいて活用する。
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