研究概要 |
子供たちの理科離れが指摘されるようになって久しい。自然史系博物館,科学館などの社会教育施設の活用は,子供たちの興味・関心を引き出し,状況の打開に寄与することができる。 一方,地域の学校と連携し,理科教育の向上に助力することは,博物館にとっても子供たちの来館が増加し,活性化につながると考えられる。また,平成22年度より施行される新学習指導要領でも,学校教育において博物館等の社会施設を活用するよう明記されている。 本研究は,以上のような背景のもと,自然史系博物館と地域の学校とが連携し,児童・生徒に本物の標本等に触れるという博物館体験をさせることで理科学習への意欲を高め,博物館に親しみを感じさせるような,地域密着型の博物館活動のあり方を模索し,検証しようとするものである。 平成21年度は,前年度に開発したプログラムや教材をさらに発展させるべく,事例の蓄積に重点を置いた。特に新規の事例としては,新学習指導要領に基づいて,小学校4年生の理科で骨と筋肉の学習の単元の実験授業を行い,この事例をもとに代表的な霊長類数種について手足の長さを比較できるレプリカ標本の教材開発を行った。 さらに,これまでに蓄積してきた事例を紹介し,学校教員や博物館職員等が役立てられるよう,小学校,中学校,高等学校それぞれにおいて実践した代表的な事例を紹介した事例集を作成した。また,3月下旬には,教員を対象とした研修会を開催し,学校教育における博物館活用を促進するための啓発活動を行った。
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