研究概要 |
兵庫県立人と自然の博物館が主宰するボルネオジャングル体験スクールをフィールドに、生涯学習支援のための連携研究員の養成法を研究し、また行政区画を超えた外来種規制を課題に環境保全の恊働の構築のための研究を、博物館の実践活動を通じて実施した。 連携研究員の養成では、体験スクールの卒業生のうち、大学で学習中の自然史学専攻希望者(初年度)と社会教育施設に関与している若手(2年度,3年度)を、ボルネオの生物について造詣の深い研究者と共にボルネオジャングル体験スクールに同行してもらい、実際に参加している生徒、児童の学習支援を体験してもらった。現地における学習の指導は、博物館の熟練スタッフの他,初年度は代表者の岩槻が参加したが,2年度以降は健康上の理由で医師に参加を止められたため、研究協力者の高橋が参加し,実行した。育成対象の連携研究員予定者は、ボルネオでの現地の体験に加え、事前、事後の学習会、年度末のOB会などへの参加を可能にし、体験学習支援の能力を身につける機会をつくった。実際にスクールに同行することによって、これまで自然史関連の現地調査などの研究活動を行っていない若手でも、この種の生涯学習支援に有効な協力ができることが実証できた。 府県の境界を越えた恊働の構築については、兵庫県に隣接する京都府中丹地域で、アライグマの駆除について成果を上げつつある川道美枝子氏の協力を得、府県境地帯の外来種のコントロールについて試行を行った。博物館側の事業である兵庫県側の奥丹波,但馬地域での対応が想定通りには進まず、期待していた恊働についての成果は得られなかったが、博物館を超えて連携研究員を育成することの意義は成果に生かすことができ、今後の方針策定に貴重な経験が積まれたと評価している。
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