研究概要 |
本研究の目的は、明治31年から継続して100年以上の発行歴史がある学術的価値の高い評論誌(三田評論)を用い,著作権の侵害の危険を回避した上でデジタル化・ネットワーク配信化をおこなうためのフレームワークを提案である。 今年度の活動の具体的内容:対象とする評論誌の中でも、現代の評論記事テーマにも通じる内容を扱っている「ウェーランド記念講演口述筆記録」に焦点を当て、著者が作品を活用してもらう視点に立った時、どういう条件であれば、デジタル化と公衆配信を了解できるかの概要調査を行った。また提示された条件が、最新のIT技術を用いて、情報システムとして実現しうるかどうかの検証を行い、Pilotシステムを構築した。 意義:現在,書籍コンテンツは音楽コンテンツとは異なり,著作権の利用を了解したか否かの画一的な処理に依るところが大きい.一方音楽コンテンツは,一回の演奏,放送,(カラオケ等の伴奏としての)利用など,現実の利用に即した様々な活用場面に応じた権利ごとに契約が結ばれる.今年度の調査は,書籍に関しても細やかな著作権管理の体系を整備することができる可能性を提示している. 重要性:これまでの書籍のデジタル化に関する議論は,法律の専門家の視点と,情報システム技術者の視点のそれぞれに立って,独自に行われてきた.今年度の活動は,両方の視点にたち,権利の処理方法とシステム化の可能性を追求した.成果として実際に動作することができるシステム基盤の構築を実現した. 研究実施計画には,本年度の活動計画を主に調査をおこなうとし,具体的にはデジタル知財管理と活用と調査,およびDRM技術・システムの現状調査を実施する計画であった。実際の活動は,さらに進み(前述のように)システム基盤を構築するところまで実現した.
|