研究概要 |
本研究では,20世紀と21世紀の知の統合的流通と活用を目指し,デジタル時代到来前に発行された評論誌の知的財産の権利保全と活用のあり方を提案する.明治31年から継続して100年以上の発行歴史がある学術的価値の高い評論誌(三田評論)を用い,著作権の侵害の危険を回避した上でデジタル化・ネットワーク配信化をおこなうためのフレームワークが必要であると特定できた.書誌情報と著作権情報を統合し,かつデジタル資産が効果的に活用されるためには,オントロジー等の従来の手法ではなく,IA(Information Architecture)の成果を利用することが必要であると判明した.この成果をもとに,これまでにない情報統合フレームワークを提案した.これらを実システムとしてか動作せるために,最終年度では,この要求を特定する活動を行った.この時,システムエンジニアリングにおける従来の要求開発の手法では,情報の欠損の発生と,上流工程の長期化が問題になっていることに注目し専用の要求獲得フレームワークを開発した.これにより,従来の方法より,圧縮した上流工程工数で,高品質の要求の整理が可能であることも判明した.この手法は,国内ジャーナルに発表しただけでなく,海外の著名国際会議でも発表をおこなった.またの手法を大学院の授業の教材に取り入れた.さらに,今年度から開始した科学研究費補助金(基盤研究(B))22300081に展開し,日本の体表的文化財である浮世絵のデジタル情報に実利用する予定である.
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