法律知識に疎いデザイナーが、実創作に際して、権利侵害の嫌疑を受けないようにしつつ自らの権利を確保するために、最も重要な手段は、少なくとも商品の立体的形状については、意匠登録出願を行って意匠権を確保することであろう。しかし、従来指摘されていた、可能な限り早い出願は必ずしも望ましい場合ばかりではない。加えて、意匠権は完全ではなく、海外での商品販売に際して、第三者の意匠権が存在しなくとも伝統的部族模様等の模倣とされる場合もあり、また、保護対象を変更する立法や、独占禁止法違反で権利行使ができない場合も生じ得る。このように、数々の保護法策を立体的に理解することが求められており、他者の権利に関するサーチ手段の啓蒙とともに、デザイナー教育に際しては、創作段階におけるマネジメントを教えることこそが重要と考えられる。
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