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2010 年度 実績報告書

クロマチン因子による幹細胞の制御と安全高効率幹細胞化法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20610008
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

栗崎 晃  独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究チーム長 (60346616)

キーワード幹細胞 / 分化 / クロマチン / 転写因子 / リン酸化 / TIF1β / ES細胞 / iPS細胞
研究概要

ES細胞ではゲノムワイドでクロマチン構造が弛緩しており,分化に伴い凝縮した構造へと変化する。しかしこのような幹細胞におけるダイナミックなクロマチン制御のメカニズムは殆ど未解明である。我々はマウスES細胞のプロテオミクス解析から、ES細胞核でクロマチン関連タンパク質群が高発現し、特にTIF1βが重要であることを見出した。TIF1βがそのC末セリンのリン酸化に伴いクロマチン構造を弛緩させる最近の報告に基づき、TIF1βが未分化なES細胞でC末が特異的にリン酸化され、ES細胞特異的なクロマチンの弛緩を引き起こすと仮説を立てた。実際にTIF1βは未分化ES細胞特異的にリン酸化されており、また初期胚の内部細胞塊でも特異的にリン酸化されていた。リン酸化型S824Dや非リン酸化型S824AのTIF1β変異体をES細胞で発現させたところ、LIF非存在下でリン酸化依存的にNanog、Oct3/4、Sox2などの未分化特異的転写因子群を発現上昇し未分化維持活性が観察された。一方、リン酸化依存的に神経分化抑制効果が観察された。更にOct3/4、Sox2、Klf4、cMycとTIF1β(S824A)を発現させるとほとんどiPs細胞が樹立されないが、TIF1β(S824D)を組み合わせた場合には各種未分化細胞マーカーが高発現したiPS細胞が樹立され、TIF1βのリン酸化がips化の過程で重要であることが示唆された。また、Oct3/4はTIF1βのリン酸化依存的にTIF1βN末に結合し、TIF1βがリン酸化依存的にOct3/4と協調してNanog近位プロモーターを転写活性化すること、さらにはChIPアッセイでNanog近位プロモーターにリン酸化依存的に結合することを示し、TIF1βがリン酸化依存的にOct3/4と協調して未分化ES細胞特異的な遺伝子群の転写活性化に関わることを明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] クロマチン制御因子を介した幹細胞未分化制御2011

    • 著者名/発表者名
      栗崎晃
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 29 ページ: 15-20

  • [雑誌論文] TIF1beta regulates the pluripotency of embryonic stem cells in a phosphorylation-dependent manner2010

    • 著者名/発表者名
      関泰宏
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 107 ページ: 10926-10931

    • 査読あり
  • [学会発表] ES細胞の未分化性を制御する新規クロマチン関連因子2011

    • 著者名/発表者名
      栗崎晃
    • 学会等名
      CREST/さきがけ[iPS細胞]研究領域合同シンポジウム
    • 発表場所
      日本未来館
    • 年月日
      2011-01-14

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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