研究課題
花色素アントシアニンは、高等植物の花、葉、果実などに分布し赤~紫~青色を呈す色素である。抗酸化性に基づく種々の生理機能を持ち、近年、安全かつ高機能性を持つ天然食品添加物として大きな需要を持つ。さらには近年色素増感太陽電池材料としても期待される。しかし、その供給のほとんどは天然の植物に依存している。従って、現在、柔軟かつ効率的なアントシアニンの化学合成法の確立が求められている。本年度の研究では、天然由来のフラボノイド骨格(C6-C3-C6)を持つフラバノンやフラボン、フラボノール類を原料に用いアントシアニンの合成研究を行った。生合成を模した反応経路を用いてアントシアニンを合成することにより、化学供給へと道を開くとともに、アントシアニンの生合成機構の解明を目指した。3,4-シスロイコ体はアントシアニン生合成における最後の無色中間体と考えられている。これがアントシアニン合成酵素(ANS)により酸化されて初めての有色物質のアントシアニジンが合成される。しかし、この3,4-シスロイコ体を合成して酸化反応を試みたが、アントシアニンは与えず、むしろプロシアニジンへの重合反応が優先すると思われる結果が得られた。そこで、ロイコ体の等価体として3,4位に二重結合を持つフラベンあるいはフラベノール誘導体を重要合成中間体として考え、これを穏和に空気酸化することで目的のアントシアニンへと変換する新しい経路の確立を目指した。ナリンゲニンの5,7,4'-ヒドロキシル基を保護した後、5位だけを脱保護して配糖化し、続いて4位を酸化して3,4位-フラベン誘導体とした。次いで脱保護の後酸性条件下で空気酸化することにより、3-デオキシアントシアニンのナリンゲニジン5-グルコシドを合成できた。
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