研究課題
臓器移植におけるHHV-6が引き起こす問題点の一つを明らかにするために、Allogeneic stem cell移植(SCT)患児の症例について検討した。SCT患児は、先制の抗ヘルペス剤であるガンシクロビル(GCV)治療を行ったが、移植後2,3ヶ月でHHV-6の増殖が起こり、HHV-6による症状(熱、下痢、網膜症、肝炎、腎炎等)が現れ、遂にはカビによる敗血症ショックで亡くなった。この患児から得られたHHV-6M2はHST株に比べ100倍以上GCVに対して耐性になっていた。このウイルス遺伝子から見つかった変異はこれまでに報告のなかったもので、U38(P462SとA565V)とU69(L202IとL213I)であった。これらの変異がGCV耐性に関与しているかどうかをU69はbaculovirusを用いて行った結果、U69の変異は直接にはGCV耐性に関与していない可能性が示された。ホモロガスな遺伝子の検索結果からU38の変異P462SがGCV耐性に関与している可能性が示された。これらの変異はSCT後、直ちに行われたGCV治療により誘導されたものと考えられた。以上のことから、本研究の目的でもあるGCVに代わるうる抗ウイルス剤の開発と早期診断法の確立が急務であることが明らかとなった。そこで、GCV耐性化の変異をbaculovirusを用いた耐性試験で確認後、dHPLCを用いてsingle nucleotide polymorphism(SNP)の診断を行う方法を確立し、学会に報告した。
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Journal of Clinical Virology 44
ページ: 15-19