研究概要 |
21年度までに卵巣癌細胞RMG1においてケモカインと受容体のCXCL12/CXCR4系が浸潤促進に関与し、CXCL12とCXCR4のいずれもNF-κBに依存している産生されることがわかった。22年度はCXCR4のノックダウンを行い、発現が低下する因子の網羅的解析をしたところ、MMP-9およびuPAのほか、VEGFやEGFの発現も強く抑制されることがわかった。これまでの結果をまとめ、NF-κB~CXCL12/CXCR4軸/MMP-9/細胞浸潤のシグナル伝達経路が存在することを阪埜と共著でBBRCに論文発表した。一方、共同研究により、DHMEQのエポキシキノールアミンにサリチル酸でなくmethylcarbonyl構造をつけた化合物を分子デザイン・合成した。この化合物はallyloxycarbonylをつけた場合と同様にメタノールに溶けるようになった。(梅澤)水溶性DHMEQ誘導体の合成に利用する光学活性DHMEQをリパーゼ酵素反応と化学合成を組み合わせて作ることに成功し、梅澤と共著で論文発表した。(須貝)一方、RMG1のマウス皮下移植モデルにおいて、パクリタクセルは腫瘍増殖を抑制したが、DHMEQ(15mg/kg,週3回,4weeks)は腫瘍の増殖を抑制しなかった。しかしDHMEQ投与により、担癌による体重減少が有意に抑制された。抗癌剤を用いた治療では副作用の一つとして体重の減少や筋減少が知られており、DHMEQは抗癌剤との併用により癌性悪液質や副作用を軽減する可能性が示された。(阪埜)
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