研究課題
匂い分子としてアンドロステノンおよびアンドロスタジエノンを選び、そのヒト匂い受容体OR7D4のフルアゴニストおよびパーシャルアゴニスト結合構造モデルをウシロドプシンの光活性化中間体構造モデルから構築した。さらに、アンドロステノンおよびアンドロスタジエノンとの複合体構造モデルをそれぞれ構築して、ふたつのステロイド化合物がフルアゴニストであると予測できる複合体構造モデルを得た。さらに、SNPs研究から明らかとなっているOR7D4の変異部位が及ぼすリガンド認識様式への変化についてリガンドー受容体複合体構造から検討したところ、直接リガンドと相互作用するリガンド結合部位にはないことが明らかとなった。また、その結合様式からリガンドのD環上の二重結合が受容体の特定の芳香環残基とCH-π相互作用により結合することが強く示唆されたことから、OR7D4の受容体アゴニストとなる関連化合物をデザインし、それらの誘導体を網羅的かつ効率よく合成する経路をパラジウム試薬を用いた方法について検討して、その経路を開発した。また、AB環上の二重結合がもたらす平面的構造が、受容体のリガンド結合部位で形成される芳香環ポケットに良く適合することも示唆されることから、このような構造に関連した構造からアンタゴニストをデザインすることを試み候補化合物のデザインを行った。リガンドと受容体の双方が知られているマウスの一連の受容体についてフルアゴニストおよびパーシャルアゴニスト結合構造モデルを構築し、リガンドとの複合体構造モデルを順次構築している。これによって匂い物質と受容体の重要な認識様式について一般性のある様式についての示唆を得た。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
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