研究概要 |
抗癌活性をもつ化合物Splioeostatin Aはスプライシングに必要なSF3b複合体に結合し、スプライシング機能を阻害する。本研究では、タンパク質局在変化を指標としたSpliceostatin Aの作用機序およびスプライシング因子の新たな機能を導き出すことを目的として、Spliceostatin Aによる分裂酵母全タンパク質の細胞内局在(ローカリゾーム)に対する影響を網羅的に解析する「ケミカルローカリゾーム」解析を実施した。分裂酵母のYFP融合型の全タンパク質可視化ライブラリー(Matsuyama et al., 2006, Nat.Biotechnol.)を用いて、Spliceostatin Aにより局在変化の起こるタンパク質を網羅的に探索したところ、全体の約3%のタンパク質が局在変化を示した。局在変化のパターンとして、細胞質のドットや核小体に移行するタンパク質が多く見られた。特に核小体へ移行するタンパク質にはリボソーム生合成に関与するものが多く存在していた。この結果より、Spliceostatin Aがリボソームプロセシング過程に影響することが示唆された。そこで、SF3b複合体の因子をコードする遺伝子変異株を用いて、リボソーム生合成に変化が見られるかどうかポリソーム解析を行ったところ、一部の変異株においてポリソーム形成が減少していることが見出された。よって、SF3b複合体はポリソーム形成に関与することが示唆された。
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