研究課題
粥状動脈硬化症の低侵襲な血管内治療法として、中赤外波長5.75μmのナノ秒パルスレーザー用いた血管形成術の開発を行った。レーザー血管形成術においてアブレーションにより生成される飛散物の大きさは、塞栓症の危険性を考える上で重要である。JWウサギ(正常ウサギ)およびWHHLMIウサギ(動脈硬化発症ウサギ)を用い、膨潤状態の胸部大動脈片に対して、波長5.75μm、平均パワー密度70~80W/cm^2、照射時間3~5sの照射条件においてレーザーを照射した際に発生するアブレーション飛散物のサイズおよびそれらの割合を、コールターカウンターおよびメッシュ回収による光学顕微鏡観察を併用し分析した。平均パワー密度80W/cm^2、照射時間3sの場合、正常動脈からは繊維状の飛散物が観察され、約80%が直径10μm以下、約2.5%が35μm以上であった。粥状動脈からは油滴状の飛散物が観察され、約80%が直径10μm以下、約0.05%が35μm以上であった。また、平成21年度に開発した波長5.75μmを血管内に導光する治療カテーテルを極細血管内視鏡下で用い、WHHLMIウサギ胸部大動脈内膜の選択的除去効果の検討を行った。血液が存在する照射環境で動脈内膜をアブレーション可能なことを確認することができた。本技術は正常組織に低侵襲に、すなわち病変組織選択的に治療することが可能である。現在先進医療で行われているエキシマレーザー血管形成術と比較して原理的に安全であり、次世代のレーザー血管形成術として有力である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)
Journal of physics : conference series
巻: 276巻1号 ページ: 012011
Medical photonics
巻: 4巻 ページ: 50-55
Journal of innovative optical health sciences
巻: 3巻4号 ページ: 285-292
Proceedings of the 32nd annual international conference of the IEEE engineering in medicine and biology society
巻: 44 ページ: 1614-1617