本年度は、極限物性研究用テラヘルツ光源を完成させるために、テラヘルツ光を発生、検出する光伝導スイッチの最適化と光ファイバの光伝導スイッチへの取り付けを行った。 光伝導スイッチに関しては、電極幅が5umから10umのもの、100umから400umのものに関してテラヘルツ発生出力の印加電圧と入射レーザー強度依存性を調べた。その結果、入射レーザー強度と印加電圧に関しては、狭い幅の素子の方が低電圧、低入射強度でテラヘルツ出力が十分になるため有利であるが、光ファイバとの接合時の位置調整がかなり難しくなるという問題点が出てきたため、結果的に100umから400um幅の素子を採用した。但し、かなり入射レーザー強度と印加電圧を上げないとならないため、光ファイバを通した場合、励起パルス光の分散補償を行っても非線形効果により元のパルス幅より広がることが予想される。よって50umから100um程度の電極幅の素子に関しても調べる必要があると考えている。 光ファイバと光伝導スイッチとの接合に関しては、熱膨張率などが比較的近い適当な接着剤を用いて行った。極低温下にさらしても接着部分がとれないことを確認しており、現在テラヘルツ光発振を最適化した状態での接着が行える様に、マニピュレーションシステムを使った顕微鏡下での接着システムを作成中である。 来年度は、光ファイバが接続された光伝導素子によるテラヘルツ発振検出を早期に行い、強磁場、極低温での測定に応用する。
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