研究課題/領域番号 |
20612012
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
陳 進華 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (30370430)
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研究分担者 |
浅野 雅春 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (50370341)
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キーワード | 放射線グラフト / 触媒 / 燃料電池 / 放射線還元 / 白金微粒子 / 炭素材料 |
研究概要 |
本年度は、放射線グラフトと放射線還元による燃料電池用触媒層の合成条件の最適化を行った。金属イオン水溶液は放射線照射により高い還元性を持つ水和電子、プロトンラジカルを生成し、それが金属イオンを金属に高効率で還元することを確立すると共に、イソプロピルアルコールを添加することで、酸化水素ラジカルが捕捉され、放射線の還元能力がさらに高められる技術を見出した。そこで、高分子電解質グラフトされた炭素担体、塩化白金酸錯体、およびイソプロピルアルコールを含む混合物を放射線照射することで、塩化白金酸錯体が白金微粒子に還元され、炭素担体表面に担持することで、燃料電池触媒層の簡便なプロセスが確立できた。さらに、触媒層の作製条件および白金微粒子の担持量に及ぼす燃料電池性能への影響について詳細に検討した。 作製した触媒電極について、放射線照射線量が30kGy以上になると、白金担持量は、触媒金属前駆体使用量から計算した値と一致した。このことから、30KGyの照射線量で白金微粒子の生成率が100%になることがわかった。また、白金担持量が25%以上の白金触媒層を合成できた。作製した触媒電極を透過型電子顕微鏡(TEM)及びX線回析装置(XRD)測定することにより、生成した白金微粒子が3nm以下、かつ、炭素担体に均一に分布されたことが分かった。また、作製した触媒層の燃料電池性能は、従来の1/4ほどの低白金担持量(0.1mg/cm^2)にもかかわらず、電流密度が2.0A/cm^2まで運転ができ、最大エネルギー密度は0.5W/cm^2以上に達した。さらに、触媒層にカーボンナノチュープを配合することで、電池性能が大幅に向上し、白金使用量はさらなる低減ができることが分かった。この結果は、低白金使用量で、市販電極以上の触媒活性があり、燃料電池のさらなる製造コストダウンに貢献できることがわかった。
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