研究課題/領域番号 |
20612015
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
井川 直樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60354833)
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研究分担者 |
深澤 裕 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (30370464)
山内 宏樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (50367827)
田口 富嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (50354832)
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キーワード | 量子ビーム / 新エネルギー / MEM解析 / 電池材料 / Rietveld解析 |
研究概要 |
軽イオン輸送型電池における稼働イオン挙動の解明のため、主要な軽イオン輸送型電池であるLiイオン2次電池用の正極材料としての利用されるLiMn_2O_4を合成し、Liイオン2次電池の利用が考えられる150~573Kの温度範囲にて、中性子回折実験を実施した。得られた中性子回折データについて、Rietveld法およびMEMによる結晶構造解析を施して、電池材料中でのLiの状態を解析した。なお、天然組成のLiは中性子吸収能が高く、中性子回折実験には不適のため、材料の合成では、中性子の吸収能が低いLi-7同位体を濃縮した原材料を採用した。 中 性子回折実験・構造解析の結果、LiMn_2O_4は240~270K付近の温度領域にて可逆的な相変化を起こす。イオンの輸送特性を表す一つの指標であるLiの等方性原子変位パラメータは、今回測定した温度範囲においては、相変態によらず温度に比例して増加する傾向を示したが、室温近傍ではこの傾向を大きく逸脱し、Liの高イオン輸送性を示唆する高い異常値をとることが判った。この室温付近において原子核密度分布を解析したところ、8bサイト-16eサイト-8bサイトを経由するLiの拡散経路を可視化することに成功した。この結果から、LiCoO_2系の正極材料物質がa-b面に平行な2次元平面上のLi拡散経路をとるのに対して、LiMn_2O_4中ではLiイオンの拡散経路は3次元網目構造をとることが判り、材料の結晶構造の違いにより軽イオンであるLiの拡散経路が大きく異なることを明らかにした。
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