研究概要 |
MgB_2は、酸化物高温超伝導体と比較して臨界温度、臨界磁場共に低いため、高温超伝導体発見時ほどには注目を浴びていないようであるが、酸化物高温超電導体にないいくつかの優れた特性を有し、超伝導加速空洞の素材として有望であることが明らかになってきた。我々はNbに続く超伝導加速空洞材料としてMgB_2が期待できると考え、加速空洞への応用に焦点を絞り、 (i)Pulsed Laser Deposition(PLD)により金属基盤上にMgB_2被膜を作製する方法 により、そのマイクロ波特性、特に表面抵抗の温度依存性、および電力(マイクロ波磁場)依存性を測定解析し応用可能性を評価しようとするものである。PLD法については我々は、酸化物高温超伝導体,特にYBaCuOにおける経験を基礎として、直径36φ円盤上に臨界温度が39K,16GHzにおける高周波表面抵抗が4.2Kで少なくとも0.1mΩ以下の、MgB_2薄膜を製作しその高周波電力依存性を測定し、高い加速電界達成の可能性を探っている。 Nbに直接MgB2をPLDにより薄膜を生成し高周波特性の測定を行った。その結果MgB2薄膜による超伝導薄膜による超伝導体Nbに対する高周波電磁界のシールド効果を発見した。TM空洞に薄膜を付ける試験をおこなった。結果について米国ジェファーソン研究所において開催された薄膜会議3rd Intenational Workshop on Thin Films and New Ideas for Pushing limits of RF Superconductivityにおいて発表をおこなった。 TMモード空洞に薄膜を付ける実験として長て方向に4分割した空洞を用いた実験をおこない銅空洞の内面にMgB2薄膜を形成し超伝導転移を高周波抵抗の急激な変化を20K付近で観測した。更に特性の改善に取組中である。
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