研究概要 |
本研究を始めるまで作製したCo(Pt)/AIN層状構造はCo(Pt)層の酸化など防ぐために表面AIN層になっていた.作製したままの状態で強い面内異方性を持ち,適切な温度でアニールすると垂直磁気異方性になる.今回,媒体への応用を考え,磁性層Co(Pt)を表面層にして,層厚さ,アニール温度と磁気異方性の関係を調べた.結果表面磁性層の厚さは2-5nmでは,400℃以上でアニールすると垂直磁化になる.特に600℃付近でアニールことによって比較的大きい異方性エネルギーが得られる。5nm以上になると,磁化の容易軸はまだ膜面と垂直方向にありますが,面内方向も磁化され,異方性エネルギーは下がる. また,垂直磁気異方性の起源について磁性層の中の応力が重要な役割を果たしていると以前から考えていたが,本研究では特別なX線回折方法で,膜面と垂直な結晶面の面間隔を測定し,格子定数を算出し,それを普通のX線回折法で得られた結果(膜面と平行な結晶面の面間隔から計算した結果)と比べた.その結果,300℃以下でアニールした試料について磁性層に面内圧縮応力を存在し,400℃以上でアニールと面内引張り応力に変わることが明らかになった.この応力状態の変化するアニール温度は異方性エネルギーの面内から垂直へ変化するアニール温度と一致しているため,面内引張り応力はCo(Pt)/AlN層状構造の垂直磁気異方性を誘起する要因の一つであることを明らかにした. 磁性層に非磁性相を導入する実験は現在進行中である.
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