研究概要 |
本年度は前年度の成果を踏まえ,まず規則化の影響について系統的に調べました. 具体的に,磁性層の厚さと熱処理温度について研究しました.その結果,CoPt磁性層の厚さは2nmでも規則化変態が起こることが明らかになった.ただし,規則度が低く,界面応力効果が支配的であるため,垂直磁気異方性は維持できる.しかも,規則化によって垂直方向の保持力は3000Oeまで上がることがわかった.規則度はCoPt磁性層厚さの増加とともに増加する.4nmまでは垂直磁気異方性が維持できるが,6nm以上になると,垂直方向と面内方向は同方的になった.これはL1_0構造の磁化容易軸[001]方向は垂直方向と膜面の間にある(55°)ことが原因であることが考えられる.また,規則化変態の温度は500-600℃の間にあることが明らかになった.したがって,よい垂直磁気異方性薄膜を作製するために,CoPtの厚さは2-4nmの範囲内であることが必要である. また,記録媒体への応用を目指し,磁性層の中に非磁性のAlNを導入し,グラニューラ組織を作製した.具体的に周期の短い(1nm)以下のCoPt/AlN多層膜を作製して,その後アニールによってCoPtとAlNを凝集させ,グラニューラ組織を作製した.結果として,適切な周期と熱処理温度では,円盤状のCoPtがAlNマトリックスの中に分散する組織が作製できた.しかも,このような薄膜連続層の多層膜と同じ,(111)配向し,垂直磁気異方性を示すことがわかった.
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