これまでの研究ではフッ化物を含む溶液中でのアノード酸化によりチューブ状の酸化チタン、TiO_2ナノチューブ層が形成し、その形態がアノード酸化に用いる溶液や電圧により変化すること、さらに光析出法や還元析出法によりTiO_2ナノチューブ層に貴金属ナノ粒子を担持することが出来ることを明らかにしてきた。本年度は、作製した貴金属ナノ粒子を担持したTiO_2ナノチューブ電極上でのメタノール電解酸化特性を評価した。その結果、以下のことが分かった。(1)貴金属ナノ粒子を担持した平らなTiO_2層とTiO_2ナノチューブ層と比較した場合、ナノチューブ層において、より大きな電解酸化電流が計測され電解酸化速度が増加されることが分かった。またTiO_2ナノチューブが長くなるにともないナノチューブ表面に担持される貴金属ナノ粒子数が増加し電解酸化電流は増加するが、ナノ粒子ひとつ当たりの活性は若干低下することが明らかとなった。(2)アノード酸化により形成したTiO_2ナノチューブ層はアモルファスであるため、そのまま用いた場合には電解酸化電流は非常に小さいが、450℃で3時間熱処理を行うことにより形成するアナターゼ型のナノチューブ層ではアモルファスと比較して約50倍程度大きな電流が発生し、メタノールの電解酸化速度が増加することが明らかとなった。(3)高い活性を示した貴金属ナノ粒子担持TiO_2ナノチューブ層においても反応時間が長くなると、貴金属ナノ粒子が被毒され活性が低下することが分かった。
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