研究概要 |
Ti_2AlNb相(O相と呼ばれている)基質中にα2相を組入れた(0+α2)型Ti-27.5Al-13Nb合金は、我々が見出した新しいタイプの軽量耐熱材料である。しかし本O相基合金は、希少金属であるNbを多量に含む、室温延性が低い、などの欠点を持つ。本研究は、本O相基合金中のNb量の低減と優れた室温延性の付与を目的に、Nbの一部を他の安価なbcc元素で置換するという組成制御、及び微量のボロン(B)を添加して結晶粒を微細化するという粒径制御を行った。 Ti-27.5Al-13Nb基準合金、本合金中のNbの一部をFeとMoで置換したTi-27.5Al-8.7Nb-1Mo、Ti-27.5Al-5.5Nb-1Fe及びTi-27.5Al-4.9Nb-1Mo-0.5Feの3種類の組成制御合金、及びこれらの4種類の合金のそれぞれに0.1重量%のBを添加した合金を浮遊溶解法を用いて溶製した。これらを(B2+α_2)二相域である1,100℃で鍛造及び熱間圧延して直径が約12mmの棒材に仕上げた。合金の粒内の微視組織をO相が一方向に揃ったいわゆるラメラー組織に制御するために、これらの棒材を1,200℃以上のB2単相域に1時間保持した後0.03K/sの冷却速度で600℃付近まで冷却した。 B2単相域に保持したために、いずれの合金ともB2結晶粒は500μm程度と粗大化していたが、0.1%の微量Bの添加によりB2結晶粒は80μm程度と微細化した。粒内のラメラー組織は組成依存性を有しており、Feを含む合金ではBの有無に関わらずラメラー状O相のアスペクト比は小さく、一見等軸状の形態を呈していた。B無添加の場合にはいずれの合金も室温より600℃付近まで降伏強さに達する前に破断した。一方Bの添加によりいずれの合金も降伏強さが得られ、また破断強さもB無添加材よりも200MPa程度増加した。また2%程度の室温伸びが得られた。 このように微量のB添加は(0+α 2)型O相基合金の強度、延性の向上に極めて有効であることが判明した。
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