研究課題/領域番号 |
20613012
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
萩原 益夫 九州工業大学, 先端エコフィッティング技術研究開発センター, 研究職員 (80354182)
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研究分担者 |
北浦 知之 九州工業大学, 先端エコフィッティング技術研究開発センター, 助教 (30467948)
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キーワード | O相基合金 / 軽量耐熱合金 / 微視組織制御 / アルファ2相 / ボロン添加 / 希少金属低減 / 結晶粒 / 室温延性 |
研究概要 |
Ti_2AlNb相(O相と呼ばれている)基質中にα_2相を組入れた(O+α_2)型Ti-27.5Al-13Nb合金は、報告者が開発した新しいタイプの軽量耐熱合金である。しかし本O相基合金は、希少金属である高価なNbを13%と多量に含む、室温延性が低いなどの欠点を持つ。そこで本研究では、本O相基合金中のNb量の低減を目的に、Nbの一部を他の安価なbcc元素で置換するという組成制御を行う。また優れた室温延性の付与を目的に、微量のボロン(B)を添加して結晶粒及び粒内組織を微細化するという微視組織制御を試みる。 平成21年度の研究では、Ti-27.5Al-13Nb基準合金、本合金中のNbの一部をFeとMoで置換したTi-27.5Al-8.7Nb-1Mo、Ti-27.5Al-5.5Nb-1Fe及びTi-27.5Al-4.9Nb-1Mo-0.5Feの4種類の合金を対象に、B2単相域溶体化処理を行った際の粒径及び引張り延性に及ぼす微量(0.1重量%)B添加の影響を調べた。その結果、B無添加材ではB2結晶粒は500μm程度と粗大化するのに対して、微量B添加材では結晶粒は80μm程度と著しく微細化した。またB無添加の場合にはいずれの合金も早期破断を起こしたが、B添加材では降伏強さが得られ、また2%程度の室温伸びが得られた。 2%程度の室温伸びは、材料信頼性確保の観点からは不十分である。より一層の延性の向上のためには結晶粒及び粒内微視組織のより微細化が必要である。そこで平成22年度の研究では、これらの4種類の合金の結晶粒及び粒内微視組織のより一層の微細化を目的に、(B2+α_2)二相域で鍛造・圧延後、1150℃の(B2+α_2)二相域に保持し冷却するという加工熱処理を適用してみた。得られた微視組織は、等軸状O相とO相ラスが一方向に配列したいわゆるO相コロニーとからなる極めて微細な複相組織であった。また引張り試験の結果より、これらの合金の中でTi-27.5Al-8.7Nb-1Mo-0.1Bは、全伸び5%という工業用材料としては十分な室温延性値を示した。 平成23年度は、特にTi-27.5Al-8.7Nb-1Mo-0.1B合金に注目し、クリープ、高温引張り特性などの高温特性を詳細に評価する予定である。これらの結果に基づいて、本合金の使用上限温度の明確化を試みる。
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