研究概要 |
高純度で高品質な鉄シリサイド半導体(β-FeSi_2)結晶がSi上でのみ形成されているためにデバイス設計が限定される,電気伝導特性評価にて基板Siの影響が無視できない,という現状をシリコン・カーバイドというSi以外の半導体基板上への結晶成長技術を確立することで打破し,β-FeSi_2の真の電気伝導特性を明らかにすることを目的として行う。このため平成20年度は,SiC半導体上へのβ-FeSi_2の結晶成長技術の確立することを目的として、スパッタ法及び有機金属気相成長法(MOCVD法)により検討を行った。 成長させる3C-SiCは、減圧気相成長法を用いてシリコン(100)面及び(111)面上にエピタキシャル薄膜を1.5μm堆積させ、これを3C-SiC(100)面(111)面基板として用いた。 有機金属気相成長法(MOCVD法)にてこれら基板上へのβ-FeSi_2薄膜のエピタキシャル成長を検討した場合にはエピタキシャルβ-FeSi_2薄膜の成長の再現性が悪いため、アルゴン雰囲気下で高温に加熱した3C-SiC/Si基板にスパッタ法にて鉄とシリコンを供給し、エピタキシャルβ-FeSi_2薄膜の成長を確認した。(100)面及び(111)面いずれの3C-SiC上においても(100)配向したβ-FeSi_2薄膜がエピタキシャル成長することを確認した。高分解能X線回折評価より(100)3C-SiC上には2回対象を有するβ-FeSi_2薄膜が、(111)3C-SiC上には3回対象を有するβ-FeSi_2薄膜がそれぞれエピタキシャル成長することが確認された。
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