研究課題
高純度で高品質な鉄シリサイド半導体(β-FeSi_2)結晶はシリコン(Si)上でのみ形成されているためにデバイス設計が限定される、導特性評価にて基板Siの影響が無視できない、という現状をシリコンカーバイド(SiC)半導体基板上への結晶成長技術を確立することで打破し,β-FeSi_2半導体の真の電気伝導特性を明らかにすることを目的として行った。H23年度は、半絶縁性の4H-SiC基板にバッファ層技術を積極的に用いた大粒径からなるβ-FeSi_2半導体薄膜成長を検討し、既報の単結晶データを上回る高結晶品質な薄膜作成技術の確立を目指しながら、この半導体の伝導機構評価を行った。スパッタ法によるβ-FeSi_2初期層の微細構造及び結晶完全性を最適化させることにより、その後の有機金属気相成長法にて成長させたβ-FeSi_2エピタキシャル薄膜のキャリア移動度は、室温にて87cm^2/V・s、77Kにおいて540cm^2/V・sとなり既報の溶媒法にて作製された単結晶データを上回った。いずれの測定温度でも伝導キャリアは正孔であった。ゲルマニウム(Ge)添加よる低温バッファ層形成とその後の有機金属気相成長でのさらなる高結晶品質化、及びバッファ層内の禁制体幅狭小化による伝導キャリア閉じ込め効果を期待しβ-Fe(SiGe)_2バッファ層を検討した。スパッタ法によってGe添加した試料の格子定数の増大化が確認され、β-Fe(SiGe)_2の形成を確認した。このβ-Fe(SiGe)_2バッファ層上への有機金属気相成長法での結晶成長では、成長過程中にバッファ層中のGe昇華が発生しβ-FeSi_2エピタキシャル薄膜成長が実現しなかった。有機金属気相成長での低温化およびキャップ層の導入といった検討が今後必要となる。
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http://www.kanagawa-iri.go.jp/kitri/kouhou/