研究課題
本研究テーマは、折り紙に代表される「長さ」や「面積」などの属性をもつ素材を「構造をもつグラフ」としてモデル化し、これをコンピュータサイエンスの対象として扱い、さまざまな問題を定式化して解くことが目的である。平成21年度は特に以下の3点の研究実績を得た。(1)じゃばら折りの研究:長い帯状の紙の上に等間隔に目的とする折り目(山折りあるいは谷折り)が与えられたとき、これらの折り目をつけるための効率のよいアルゴリズムを考案した。さらに理論的な上界と下界を与えた。この研究を通じて、Folding Complexityという新しい概念を確立した。コンピュータサイエンスの視点からの「折りたたみの効率」に関するこうした指標はこれまで存在しなかった。(2)翻訳と出版:「計算折り紙」の分野ではバイブルともいうべき本"Geometric Folding Complexity"を翻訳し、出版した。本研究分野は分野横断的であり、必ずしもコンピュータサイエンスが専門ではない研究者も多いため、好評を博している。(3)展開図に関する研究:「2種類の異なる箱を折ることができる一つの展開図」が無限に存在することを証明し、これを実際に多数製作した。展開図については、未解決な問題も多く、本結果の応用も広いと考えられる。またこれ以外にも、構造をもったグラフに関する理論的な研究結果も多数得ることができた。これらは適宜国際会議や論文誌に発表した。具体的には平成21年度中に査読付き論文が7編受理され、審査つきの国際会議で7編の論文が採択された。挑戦的萌芽研究としては十分な成果をあげたと考えている。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (7件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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