平成20年度までに確立した、ユーザ視点のWebサービスの品質評価方法により、平成21年度は、実際の被験者を用いた評価実験を行った。本研究における評価方法は、ユーザ視点のサービス品質評価尺度として、ユーザビリティを考えるものであり、Webユーザビリティの評価方法としては、ISO勧告に基づくもの、ヤコブ・ニールセンのユーザビリティ評価方法に基づくもの、生態信号を用いるものの三つを採用した。生態信号としては、筋電位信号を用いた。評価実験においては通信品質を変化させた状態で、被験者に実際のWebサービスを利用させ、各評価方式でそのサービス品質の測定を行った。被験者は、20代の男女32名とした。実験結果から、Webサービスにおけるユーザ視点のサービス品質の評価方法として、提案方式の有効性を確認することができた。これまでの研究では、通信品質とWebユーザビリティの関係を明確にしたものは見られないので、本評価結果の意義は大きいものと考えられる。また、筋電位による評価方法の有効性を示したことは、今後多くのユーザ、特に高齢者や障害者の方々などに対してもユーザ視点のサービス品質の評価を正確に行うことが可能となることを示唆している。したがって、提案手法は、近い将来の高齢化社会において、高齢者層の顧客満足度を評価できるという観点から、社会的な意義も大きいものと考えられる。なお、本研究結果の一部は、電子情報通信学会東海支部卒業研究発表会において2件、ならびに電子情報通信学会総合大会において1件発表を行った。
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