研究概要 |
本研究で提案している温容センサは,個々のセンサの感度特性が局所状況に応じて変化する機構を付与し,環境に生じた局所的な変化に応じて特定の領域のセンサだけが自律的にアクティブになるというコンセプト(フォーカシング機能)で構成されている. 本年度は,年度内に,(1)情報収集とヒータによる温度制御機構を組み込んだ温容センサ単体モデルの設計製作特性試験・試行・選定,(2)パルス印可電流による局所温度制御,を予定していた. (1)に関しては,ほぼ,目的は達成されたが,(2)に関して,温容センサとして,当初熱電対型のセンサを想定していたがより簡便な測温抵抗体にヒータ構造を付与したヒータ&センサ構造による熱流速計測の可能性を平成20年12月まで追求した.その結果,フォーカシングには環境温度点と恒温点が対称面に対して垂直な熱流束に対する知見が必要であり,3Dスケールに対応したパルス加熱周期の選定が重要であるという知見が得られた.この解決のために半年間の研究期間延長を行った.その結果は,表面近傍の熱流速の変化から対象物質の極表面熱物性をとらえることが可能なセンサに結実した.この結果は,皮膚の保水量計測を可能にした,21年度の成果として,Transdusers2009及びMEMS2010の2つの国際学会で発表した. また,測温抵抗体によるパルス加熱実験によって,表面温度特性を変化させることの技術的知見を蓄積した.
|