研究概要 |
本研究のコンセプトは,皮膚型のセンサがもつ機能を実現するところにある.このために,処理系としてセンサに自己弁別機能をつけたフォーカシング機構によって特定のセンサ領域にあるセンサだけをアクティブ状態にし,その領域だけに処理系のリソースを集中投入するという点にある.このような機構を実現するために,温度制御系を用いている. 本年度までに行うことは,上記のコンセプトを基に,細胞サイズの空間分解能(50μm以下)で配置した熱電対型の温度センサの定温端にヒータによる温度制御機構を組み込み,数個から数十個のセンサをセンサ群としたMEMSデバイスを設計制作し,フォーカシング機能を実現する.フォーカシング機能は定温端の温度を恣意的に制御することによって実現する(初年度).また,制作した温容センサ群と処理法によって生体の表皮温度などの局所温度変化を実際に計測し,微細な局所温度分布が測定できることを示す. (2年目まで) 具体的には,皮膚型温度制御系を構成する上で必要な研究課題は以下のように列挙できる. 1.環境温度の制御,2.環境温度の計測,3.領域が異なる点での温度計測感度を変化させる(熱電対構造),4.人の皮膚感覚信号処理系のモデル化,5.発汗作用を模した恒温系の構築,6.センサ群として多点化とフォーカシングの実験 今年度までに,1~4までの研究が進行しており,1,2の研究成果として皮膚の保水量を計測可能なマイクロ伝熱型のセンサを開発した.この成果は,センサ系の二つの国際学会で発表し,Fragrance Journal(2009.3)に取り上げられた. また,人の感覚情報処理に対する考察をロボット学会において発表した.
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