研究課題
1.昨年度に収集した食事嗜好に関するアンケートデータの解析を進めた。昨年度に引き続き、想定状況での嗜好と現実状況での嗜好との間の差の分析を行い、有意な差があることを明らかにした。また、食事メニューごとの嗜好の分布の空腹度による差異を、想定状況と現実状況とでより詳細に分析した。この結果、想定状況下においては、現実状況下よりも空腹度に即した解釈しやすい嗜好の分布が観察されることを明らかにした。このことは、被験者が、想定状況下では、自分がそうした状況にあることを想定して回答するのではなく、単に状況名から知識によって推論される結果を回答する傾向があるという可能性があることを示唆している。これらの成果について、雑誌論文発表(技術研究報告)1件、学会発表2件を行った。2.大量の想定状況データと少量の現実状況データを組み合わせる嗜好モデルの適応方式についての検討を進めた。ベイジアンネットを使ってそれぞれのデータをモデル化し、重みづけして組み合わせる方式を提案し、昨年度収集したデータで評価した。その結果、適切な重みづけによって嗜好予測の精度が向上することを明らかにした。また、異なるデータソースからの情報を組み合わせる手法の一種として、Co-Clustering技法に基づいて履歴情報と属性情報を組み合わせて嗜好モデルを構築する手法について検討を行い、履歴情報の量が少ない場合に、モデルの予測精度が向上する可能性があることを明らかにした。これら結果について雑誌論文発表(国際会議Proceedings)1件、学会発表1件を行った。また、モデル適応の新しいアプローチとして、ノンパラメトリックな階層ベイズモデリングを用いて、想定状況と現実状況異のデータを融合してモデル化する手法の検討を開始した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
電子情報通信学会技術研究報告 109-363
ページ: 83-88
User Modeling, Adaptation and Personalization, 17th International Conference Proceedings LNCS5535
ページ: 102-113