研究概要 |
最新の知見を基に哺乳動物細胞の細胞周期の分子制御ネットワークのモデルを構築した。その基本構造はCyclin, CDK, CKI, CDC, Cyclin-CDK (MPF : M期促進因子), weel, APC, SKP2、およびそれらの分解、リン酸化過程からなる。ここでは細胞サイズはCyclinの生成率を比例的に上昇させるとした。細胞サイズの変化は従来のモデルのように完全な外部変数とせず、細胞分裂はMPFがある閾値を下回った時に生起するとした。これは基本的にG2/M期のモデルである。細胞サイズの成長曲線が細胞周期ダイナミクスに与える影響について、特に相互引き込み特性への影響について調べた。特に次従来のモデルで想定されているような指数関数的成長の場合は、見かけ上、位相反応性を示さないにとを示した。また、線形成長やべき成長などの場合に細胞分裂サイクルと細胞周期の相互引き込み特性を調べた。我々は分子時計機構の詳細なネットワークが呈する振動ダイナミクスの定性的な性質(各変数の振動位相関係と位相反応曲線)を保存した分子レベルの縮約モデルをすでに構築している。モデル変数のうちCLOCK-BMAL1とPER-CRYが、WEE1の生成率を上昇および下降させるとした時の日周リズムと細胞周期の引き込みの安定性と位相関係を明らかにした。これによれば、べき成長時には細胞分裂が日中に生起するにとになり、生物学的なリアリティが損なわれるにとが明らかになった。
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