生物が発生期に獲得する等間隔パターンの代表例として、せきつい動物の体節があげられる。体節は、未分節中胚葉が周期的に分節化されることによって等間隔パターンとして形成される。これまでに分節化の周期性が、未分節中胚葉でおこる遺伝子発現の振動によって制御されていることが明らかになっている。我々は遺伝子発現の振動のメカニズムを明らかにし、生物が等間隔パターンを得るしくみの解明をめざす。本研究では特に、これまでの知見に基づいたシミュレーションの結果と実験結果の相違に着目し、振動発生の中心をなす遺伝子が転写後調節を受けていることを予測したので、それを実験的に証明すること、および実験結果に基づいて新たなモデルを構築することを目的とした。これまでに、振動発生をになう遺伝子Hes7のmRNAの3'-UTRに結合するRNA結合タンパクを網羅的に探索し、いくつかのRNA結合タンパクを得ている。また、Hes7のmRNAの3'-UTRに結合することが予想されるmiRNAについても探索をすすめている。
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