研究概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、単純脂肪肝から脂肪肝炎(NASH)、肝不全や肝細胞癌なども合併する肝硬変まで含む一連の疾患であり、メタボリックシンドロームの表現型の1つと考えられている。肥満の増加に伴い、NAFLDは成人のみならず、小児においても増加傾向にあり、今後社会的にも重篤な問題となることが予想される。小児のNAFLDへの治療介入の効果についての報告は少なく、本研究では、小児NAFLDへの治療介入の効果を検討した。平成21年度は、小児NAFLDへの入院型包括的リハビリテーションの効果を平成20年度に引き続き検討した。ALT 70IU/1以上を示す小児肥満患者を東北大学病院小児科に入院させ、運動療法・食事療法・栄養指導・日常生活指導による包括的リハビリテーションを行った。運動療法は、心肺運動負荷試験により心電図異常がないことを確認し、嫌気性代謝閾値(AT)を決定し、このATレベルで自転車エルゴメーターや水中トレッドミルを週4~5回1時間施行した。食事療法として、1900kcal普通食(糖質280g,脂質50g,蛋白質80g)による食事のみに制限した。症例は、平成20年度の5名に加えて、平成21年度は4名、性別は男4名であり、総計男8名、女4名となった。昨年と同様に、入院経過中に有害事象や脱落はなく、減量に伴ってASTとALTの改善が認められた。糖原病VIII型に合併した肥満を伴わないNAFLDの1例を経験したが、入院経過中に有害事象はなく、ASTとALTの改善が認められ、入院型包括的リハビリテーションの有効性のみならず、安全性も確認できた。
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