平成20年度は、レジスタンス運動による筋肥大モデル動物を確立し、その後、肥大筋における筋サテライト細胞活性化の時期を、組織学的手法を用いて明らかにことを目的に行った。 まず、レジスタンス運動による筋肥大モデルラットの作成を行った。レジスタンス運動の方法は、警告音のあと床面から電気刺激を行い、壁のスイッチを押せば、その電気刺激から回避できるラット用レジスタンス運動ボックスを製作し、電気刺激の前の警告音で壁にあるスイッチを押すようラットを学習させた。壁スイッチの高さを、ラットの後肢を最大限伸ばし、踵が離地する位置に設置する。すると、警告音後、立ち上がってスイッチを押すようになる。このようなつま先立ち運動の学習を1週間行った後、ラットに、重り付ジャケットを着用させ、重りを徐々に重くしていき、斬増レジスタンス運動を行った。レジスタンス運動は7週間で、負荷は、ラットの体重の5→100%まで増加した。 7週間のレジスタンス運動後、H-E染色で後肢筋8種の筋線維断面積を測定した。ヒラメ筋に筋肥大を認めたが、その他の後肢筋には、筋肥大が認められなかった。また、肥大したヒラメ筋に免疫染色を施行し、活性化したサテライト細胞を観察したが、認められなかった。課題として、レジスタンス運動を行ったラットは、対照群に比べて体重が小さかったので、おもり負荷の増加率や運動期間など実験デザインの一部改良が必要であることがわかった。また、活性化したサテライト細胞は、レジスタンス運動早期に現れる可能性があるため、検出する条件を検討するべきであることがわかった。
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