• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

造血幹細胞移殖患者に対する有効かつ効率的なリハビリテーションの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20650083
研究機関大阪医科大学

研究代表者

佐浦 隆一  大阪医科大学, 医学部, 教授 (10252769)

研究分担者 三輪 雅彦  神戸大学, 医学部付属病院, 助教 (20397805)
キーワード造血幹細胞移植 / 廃用症候群 / リハビリテーション / 運動療法 / 身体活動量 / 移植片対宿主病(GVHD) / 生活習慣記録器 / 無菌室
研究概要

造血幹細胞移植療法後に発症する廃用症候群を予防し、移植後患者の社会復帰に対するリハビリテーション(リハ)の効果を明らかにするために、骨髄破壊的造血幹細胞移植療法を受けた13例(骨髄破壊群)と骨髄非破壊的造血幹細胞移植療法13例(骨髄非破壊群)の身体活動量と入院期間との関連性を検討した。全例とも移植療法後の好中球の生着を確認し(骨髄破壊群:平均17日、骨髄非破壊群:平均14日)、ライフコーダーを用いて就寝中を除く日中の身体活動量を測定しながら、クラス10000のクリーンルーム(CR)内で自転車エルゴやステップ昇降などの運動訓練(リハ介入)を実施した。この結果をもとに各群内で身体活動量と入院期間の関連性を検討し、あわせて移植片対宿主病(GVHD)やサイトメガロウイルス(CMV)感染症などの合併症の発症が入院期間に及ぼす影響も調査した。
骨髄破壊群の身体活動量は平均1710歩/日であり骨髄非破壊群の2093歩/日より少なかったが、両群間に有意差はなかった(p=0.90)。一方、入院期間は骨髄破壊群が101日と骨髄非破壊群の71日に比較して有意に長かった(p<0.0001)。
合併症は、骨髄破壊群がGVHD5/13、CMV感染症7/13、骨髄非破壊群がそれぞれ0/13、7/13であり両群間に差はなかったが、骨髄破壊群では合併症の有無にかかわらず入院期間とCR内での身体活動量の間には負の相関が認められた(r=0.71,p=0.0071)。一方、骨髄非破壊群では入院期間も短いためCR内での身体活動量と入院期間の間には明らかな相関関係は認められなかった(r=0.09,p=0.77)。
以上より、強力な前処置による骨髄破壊を伴う造血幹細胞移植療法では、合併症の有無にかかわらず施術後の運動量(日中活動量)が入院期間に対して影響を与えていたことから、術後早期のリハ介入は合併症の発症には影響せず、むしろ早期からリハ介入を行うことで日常の活動量を維持し廃用症候群の発症を予防することが可能となり、結果として安全に社会復帰が早まることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 同種造血幹細胞移植患者の身体活動量に対する運動療法プログラム導入効果の検討2009

    • 著者名/発表者名
      井上順一朗
    • 雑誌名

      理学療法ジャーナル 43

      ページ: 323-328

    • 査読あり
  • [雑誌論文] がんのリハビリテーション最前線 リハビリテーションの実際造血幹細胞移植2008

    • 著者名/発表者名
      井上順一朗
    • 雑誌名

      総合リハビリテーション 36

      ページ: 453-459

  • [雑誌論文] 同種造血幹細胞移植患者のクリーンルームでの身体活動量はHRQOLに影響するか?2008

    • 著者名/発表者名
      井上順一朗
    • 雑誌名

      理学療法兵庫 14

      ページ: 39-42

    • 査読あり
  • [学会発表] 同種造血幹細胞移植患者の入院中身体活動量と入院期間短縮との関連性2009

    • 著者名/発表者名
      井上順一朗
    • 学会等名
      第31回日本造血細胞移植学会総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌(札幌市)
    • 年月日
      20090205-20090206
  • [学会発表] The Relationship between Physical Activity and Duration of Hos pitalization in Patients Undergoing Allogeneic Hemat opoietic Stem Cell Transplantation2008

    • 著者名/発表者名
      Junichiro Inoue
    • 学会等名
      10th International Congress of the Asian Confederation for Physical Therapy
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉市)
    • 年月日
      20080829-20080901

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi