本研究の目的は、なるべく簡単な機構でしかも人の注意を引くことが出来るペットロボット用の目の実現をめざして、目のデフォルメの程度により、注目される度合いが制御可能であることを明らかにすることであり、今年度は以下の研究成果をあげた。 1.各種パラメータの決定: (1)目の大きさ及び配置については、ロボットの頭の外形として一般的に用いられる、丸、正方形、長方形に対して、前年度の分析により得られた境目付近の画像の横軸の長さを基準として、等倍、半分、1/4の大きさとしたものを目の画像の中心と外形の中心が一致するよう貼り付け、主観評価実験を行い、多重比較による統計手法で処理した結果、等倍の物を目の画像の中心と外形の中心が一致するように配置するのが良いことが判明した。 (2)目の形態については、人間が喜怒の表情をした時の目の画像と単純画像とをモーフィングし、前年度の分析により得られた境目のモーフィング度に当たる画像および、その前後の画像を取り出し、主観評価実験を行い、多重比較による統計手法で処理した結果、モーフィング度が人間の目に近い方が、喜怒の判別結果が良いことが判明した。 (3)傾きの最大角度については、前年度の分析により得られた境目のモーフィング度に当たる画像を水平面に対して傾きを10度ずつ変えて呈示し、主観評価実験を行い、多重比較による統計手法で処理した結果、傾斜角が40度までは同一の画像と認識されることが判明した。 2.試作機による評価: 決定した各パラメータによる喜怒の表情の目をつけたロボットの頭部を作成し、傾斜角40度以内の頭部を呈示した時に、試作した頭部を被験者が注視する時間の長さを計測した。また、対照実験として単純な形の目をつけたロボットの頭部を呈示した時の頭部の注視時間を計測し、比較検討した結果、モーフィングを施した目での注視時間の伸びが確認でき、注目される度合いが制御可能であることが示唆された。
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