研究概要 |
最近開発された超磁歪型骨導ヘッドホンは,従来の動電型や圧電型に比べて3kHz〜10kHzの周波数持性が平坦である。この周波数帯域は気導では上下方向の方向感知覚に関与することが知られているので,超磁歪型骨導ヘッドホンの採用により,従来得られなかった骨導による3次元方向感を得られる可能性がある。本研究の目的は,それを可能にする呈示法および信号処理法を開発することである。 本年度の成果は以下のとおりである。1.超磁歪型骨導ヘッドホンの周波数特性等の測定本研究費で購入した人工マストイド(B&K4930型)を用いて超磁歪型骨導ヘッドホン(Filltune HP-F100)の周波数特性,高調波歪,相互変調歪を測定し,動電型および圧電型の特性と比較した。超磁歪型骨導ヘッドホンが骨導による方向感呈示に最も適した特性を有することを確認した。2.骨導伝達関数推定法の考案骨導と気導刺激のDPOAE(歪成分耳音響放射)の差分により骨導伝達関数を推定する方法を考案した。3.骨導刺激によるDPOAEの測定DPOAE測定の計算機プログラムを作成し,骨導刺激によるDPOAEを測定した。測定にはER-10B+型DPOAEマイクを使用した。波形およびスペクトル分析によりDPOAE測定結果の妥当性を確認した。 この成果を基にして次年度は骨導による3次元方向感呈示を可能にする信号処理法の開発をめざす。
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