(1)子供の社会行動教育に関するフィールド調査および文献調査 子供の社会行動教育の原理と方法、それを支える社会システムについて、インドネシア共和国バリ州の伝統的村落共同体を中心としたフィールドワークを行った。バリ州の複数地域において、主として伝統芸能の継承を通じての社会行動教育に関する現地調査を行い、あわせて、近代的教育システムにおける子供の社会行動教育に関する取材および文献調査を通じて、近代化にともなう教育システムの変遷についても知見を得ることができた。 また、カメルーン共和国ソマロモ地域の熱帯雨林に所在するピグミー人の集落におけるフィールドワークを通じて、近代文明の影響がきわめて限定された環境下における子供の育ちに関する予備調査を行った。 (2)本来型社会行動教育に関するモデル構築 上記の文化人類学的アプローチにより得られた知見に関して、脳科学、行動生物学、分子遺伝学等、生命科学領域における最新の知見を導入した生物学的観点からの検討を行い、人類本来型の社会行動教育に関するモデル構築を進めている。 (3)成果の報告 (1)、(2)により得られた成果を、京都大学こころの未来研究センター主催こころの未来研究会で報告した。あわせて早稲田大学における担当授業「バリ島の教育」で紹介した。 (4)子供の社会行動教育の評価に関する定量的指標の検討 上記の成果にもとづき、今後の研究の展望を得るために、人類本来の社会行動教育について評価・考察するうえでの定量的な指標について検討中である。
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