研究概要 |
本研究では,スポーツ技術の解明やスポーツボール,シューズ,フロア等の用具,施設の研究・開発のため,より実際のスポーツ現象に近い打突型ボール射出装置を開発した.基本設計仕様として,最大パワー時の約70%で25m/sの初速でボールが射出されること(サッカーボールの場合),サッカー,バレーボール,ラグビーフットボール等,様々なインパクト様式が可能なこと,インパクトにより,ボールにある程度の回転をあたえられること,の3つが運動動作機能の主要仕様である.さらに物理的な大きさ等に関しては2トン車荷台に搭載可能なこと,人力で移動可能なこと,ボールインパクト時において装置が固定されていること,収納予定の体育館に収納可能な高さであること,100V(日本標準)の電源で動作することを物理的主要仕様として設計した.ボールのヒッティングポイントに関しては,左右ならびにボールの射出方向の位置をダイヤル式スライドで調整可能とし,大まかな高さを設定した後に±50mmで微調整させるようにした.安全対策として装置内および射出方向前方2m以内に人が入り込むと動作しないように赤外線感知センサーを各所に取り付け,2重の安全を図り,できるだけ不測の事故を避けるようにした.本ボール射出装置の部材は基本的にスチールであり,1000kg近い重量となった.現時点での仕様のいて,サッカーボールを射出する場合,最高速度35m/s以上を実現し,最大パワーの約70パーセントで25m/sのボール速度を達成した.バレーボールで着地点を検討した結果,比較的安定しているが,ボールパネルの影響を受けることが明らかになり,ボールの飛翔軌跡や着地点の研究にも有用であると考えられた.
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