研究概要 |
今年度は,減量介入プログラムによる心外膜脂肪の変化と影響要因について検討した.得られた知見は以下の通りである. 1)有酸素性運動(自覚的運動強度13~15程度,60分,3回/週)の実践にともなう心外膜脂肪組織の変化について,心機能に異常のない24名の肥満男性を対象に検討した.その結果,3ヵ月間の有酸素性運動実践によって心外膜脂肪厚は6~8%減少し,その変化量は,内臓脂肪面積の変化量と有意な相関関係にあった.さらに,血圧やQUICKI(インスリン抵抗性の指標)の変化と有意に関連していた. 2)食生活改善(1680kcal/日)にともなう心外膜脂肪組織の変化について,心機能に異常のない27名の肥満男性を対象に検討した.その結果,3ヵ月間の食事改善によって,心外膜脂肪厚と腹部内臓脂肪面積および腹部皮下脂肪面積が有意に減少した.また,これらの減量度はいずれも運動療法単独よりも大きかった. 以上より,(1)介入方法に関わらず,減量により心外膜脂肪は有意に減少すること,(2)心外膜脂肪の減少度は,運動療法に比べて食事療法で2倍ほど大きいことが明らかとなった. 今後は,減量介入プログラムを継続し対象者数を増やすことで得られた知見をより強いエビデンスに位置づけるとともに,心外膜脂肪厚と内臓脂肪量体積との関係や,心外膜脂肪に影響を及ぼす食生活内容の詳細について検討をすすめていく.
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