まず、ベッドに求められる要求事項をまとめたりえで、企菜のテザイナーの協刀を得て、ベッドのタト観デザインをおこなった。例えば、家庭内を自由に移動できるようにという要求に対しては、ベッド本体にキャスターとホイールを取り付けるとともに、ベッド外寸は一般家庭のドアの寸法を考慮して決定した。 ついで、すでに実験で明らかにしていた乳児が心地よく感じる揺動運動を、実際のベッドで再現するための機構設旨計をおこなった。 さらに、保育者支援の立場から、乳児の状態に応じて適切な揺動運動をベッドに与えることが有用であることから、連携研究者の協力を得て、乳児の状態を泣き声センサーで検知することを特徴とする以下のシステムを構築した。 1.ベッドに取り付けた単一指向性のコンデンサーマイクから音声信号を取り込む。 2.取り込んだ音声信号を、周波数・パワー・検知時間を考慮してPICマイコンで処理し、泣き声のみを検知する。 3.シーケンサーは、PICマイコンからの泣き声検知信号を受け、モーターを制御してあらかじめ設定したパターンでベッドを揺動させる。 4.ベッド揺動中に、泣き声が一定時間検知されない状況になれば、あらかじめ設定したパターンで徐々にベッドの揺動を停止する。 上記の検討・設計を基に試作機を製作し、実際の家庭で12名の乳児に使用してもらった。使用者からのヒアリングやアンケート調査の結果、ベッドは夜間の夜泣きのときに加えて、日中、料理や洗濯などの家事をおこなっているときにおいても有効に使用できることなどが分かった。このことは、核家族化が進んだ現代社会において、このベッドが子育てを支援するために有用であることを示している。 なお、その他本年度に予定していた聴覚・視覚刺激を乳児に与えることの有用性の検討については予定を変更し、次年度に実施することとした。
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