研究概要 |
羽毛を粉砕して作ったパウダー(平均直径20μm)と溶融型ポリウレタン樹脂を羽毛粉末の混合比を変え、不織布(ポリエステル100%)にグラビア印刷した材料を試料に用いた。試料の表面摩擦と表面粗さはKES-SE表面試験機(Kato Tech.Co.,LTD)を用いて測定した。センサーにはU字型ピアノ線1本の場合と20本並べた2種類で検討した。ひとが手で触った時の水蒸気や水分による物性変化を考慮し、測定環境は、23±2℃,相対湿度100%,90%,80%,60%,40%とした。その結果、ピアノ線と不織布間の摩擦係数は、相対湿度40%RHから100%RHになるにつれて増加を示した。特に相対湿度80%RH以上になると摩擦係数は急激に増加した。不織布の厚み方向の圧縮最大変形量、圧縮仕事量と圧縮ヒステリシスを測定したところ摩擦係数の変動と同様な傾向がみられた。不織布では、羽毛粉末は繊維表面のみではなく繊維間にも混入する。したがって羽毛をコーティングする方法によって、表面の接触面積が変化すること、不織布は柔らかいため摩擦測定時の変形による掘り起こし力が摩擦係数に寄与することがわかった。次に人間の計測機能と機器分析データの相互補完システムを考えるために、ファーの毛の動き易さに着目し手触りデータと測定値との関係を調べた。試料は、毛の長さを4mmから16mmまでの5種類とラビットのリアルファーである。毛が押されるときの抵抗を(1)毛を水平方向に動かす時に生じる力と(2)水平方向に動かしているときに毛にかかる垂直方向の力とし、この両者を測定する方法を開発した。また実際官能検査を実施し、物性値との対応を検討した。その結果、水平方向に動かす時の力を持って、毛の動きやすさをあらわすことができることがわかった。
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