本研究は地震災害時に発生する広域停電下での屋外避難経路の明かりの確保と避難誘導を円滑にするシステムを住宅の門灯や玄関灯などを利用して構築することを目的とする。屋外の非常時の明かりの機能として、避難路面の明るさの確保と、避難場所への誘導性が求められるが、今年度は避難路に面して存在する住宅の門灯、玄関灯に予備電源を組み込ことによって、広域停電下の避難路面の明るさの確保を図るシステムを構築するため、市販のLED門灯に加速度センサーによる点灯回路を組み込む作業を行った。当初予定していた、LED門灯の駆動回路が変更になったため市販の自動火災感知器に内蔵された加速度センサーの転用調整に時間を要した。そのため、被験者による評価実験は次年度に実施することにし、今年度は配光特性について測定を行った。さらに、誘導性の評価を行う方法として、視認距離、屋外誘導システムの発光面性、発光輝度と誘目性の関係について検討を行った。予備電源等がない場合や暗所視での誘導を想定して、低輝度の蓄光標識による視認性評価を行った。蓄光標識は経時的に輝度低下するため、視認評価実験は困難であるので、視認性に影響を与えない紫外光を利用して発光輝度を定常的に調整できる方法を開発した。これによって、任意の経過時間後の蓄光標識の視認性評価が可能になった。標識の設置距離、標識の面積、発光輝度と誘目性の検討を行って、所定の経過時間後に必要な誘目性を確保できる残光輝度と標識面積の関係を明らかにした。これから、標識の設置間隔によって必要な標識の大きさがあらかじめ想定できることになった。更に研究代表者が既に行った太平洋沿岸部の津波避難を想定して設置されている避難誘導標識の実態調査データを利用して、現状で設置されている蓄光標識の誘導性が十分でないことを明らかにした。
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