科学的リテラシー概念と主要なスタッフの言動を手がかりに、BSCSのカリキュラム開発の歴史を再解釈しようというのが本研究の目的である。この作業を始めるにあたり、本年度は1980年代以降現在までのカリキュラム開発活動を整理・分析し、以下の点を明らかにした。21年度はこれより以前の活動について、科学的リテラシーとの関連や主要スタッフの影響について分析を行う。 1) 資金援助組織が政府系機関を中心としつつも、学会や財団・大学・企業等多様化しつつあること。 2) 小・中・高・大まで、また生物に限定されない理科諸科目へと、カリキュラム開発の範囲を拡張していること。 3) 核となる中心的なプログラムと、補助教材的なプログラムとが使い分けられていること。 4) プログラムの開発理念そのものを検討した各種の報告書やガイドラインを同時に開発していること。 5) 近年特に教師教育重視の傾向が強く、組織として新たな担当部門を設置していること。 6) 構成主義理論として5Eモデルが積極的に活用されていること。 7) 科学的探究は50年間を通して一貫した開発理念であり続け、さらにSTSの視点が取り入れられたプログラムが開発されていること。 8) 1990年代以降は、全米科学教育スタンダードの動きに連動して、科学的リテラシーの育成をカリキュラムの目標として明確に掲げ続けていること。
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