本研究は、科学や技術が好きで得意な子どもたちを育てるための家庭教育の役割を明らかにし、家庭主導の科学技術教育を推進するための方法論を確立することを目指している。本年度は家庭が主導した科学技術教育を円滑に行うことができるよう、以下のように環境整備を行った。 (1)典型的な中山間地域である三次市内に保護者研修を行うための場所を確保した。 (2)保護者を指導する指導ボランティアを募集し組織化した。指導ボランティアは、専門分野の教育経験を有する者とし、高味俊雄氏(元広島県立上下高等学校長、物理教育)、後藤邦昭氏(元広島県立庄原養護学校長、地学教育)をリーダとして、小、中、高等学校の教員や企業の技術者など7名に依頼した。また、指導ボランティアの事務所として三次市まちづくりセンターの一部を確保した。 (3)指導ボランティアに対する研修はほぼ毎月行った。用いた教材は、地元特有の自然現象(例えば三次市の場合、盆地霧など)にも配慮し、日常生活の中で体験したこととの関連付けを行えるようにした。また家庭教育に容易に展開できるよう教材の安全性、経済性に配慮し、材料は中山間地域においても入手しやすいものを用いた。 (4)市教育委員会、市立学校長に趣旨説明を行い、社会教育関係者、学校教育関係者との連携を円滑に行えるようにスキーム作りを行った。 (5)学校教育とも持続的に連携することを念頭において、学習指導要領との関連を(それに縛られるという意味ではなく)意識した。
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