本研究は、科学や技術が好きで得意な子どもたちを育てるための家庭教育の役割を明らかにし、家庭主導の科学技術教育を推進するための方法論を確立することを目指している。前年度までに、指導者のボランティア団体としてNPO法人三次科学技術教育協会(MISTEE)を設立し、市教育委員会、市立学校長に趣旨説明を行うとともに、社会教育関係者、学校教育関係者との連携を円滑に行えるような仕組みづくりを行った。さらに、学校教育とも持続的に連携することを念頭において、学習指導要領との関連を意識した教材開発を行い、児童・生徒および保護者に対して科学技術教室を実施した。本年度は、児童・生徒および保護者には研修成果を家庭に持ち帰り、共に科学技術に関する体験的な学習を行うことを中心として活動を行い、保護者は適宜その様子を指導ボランティアに報告し、必要に応じて助言を受けている。これらの過程において、適切な時期に家庭主導で行われた科学技術教育の効果を検証した。また最終年度であるので、家庭主導の科学技術教育に関わった児童生徒や保護者による体験・研究発表会を開催し、児童生徒および保護者がプレゼンテーションの学習機会を得るとともに、自己評価と将来への展望を行う機会とした。この発表会は「子どもと大人の科学の祭典in三次2010」と題して行われ、広く市民に公開して行われた。この体験・研究発表を行った保護者および児童生徒や、来場して聴講した保護者および児童生徒に対するアンケートなどをもとに、本研究の評価を行った。
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