研究概要 |
本研究の最終目標は、協同学習(第2言語習得)促進の鍵となるコミュニケーション過程のバイオフィードバック(視線行動・脳活動)を得ることにある。そこで、どのような状況であれば協同学習が成功しやすいかを調べるため、パイロット実験(20年9月)と本実験(21年3月)を行った。パイロット実験の目的は、視線行動と脳活動の同時(同期)計測における問題点の発見と解決案の検討、および課題の難易度と妥当性の確認、であった。その結果、当初課題は実験時間が許容限度を超過することが判明したため「発音模倣」「自由会話」に変更した。協同学習は、英語ネイティブ講師と学習者の二者間に発生するものとした。協同学習過程は、発声・発話(音声書き起こし)、事後面接、視線行動、脳血流の諸側面で計測された(モニター有り無し両条件)。 <当該年度の研究成果> 1.視線行動と脳活動の同時計測では、実験状況の映像を、脳血流計測モニター上に提示することにより、バイオデータと学習活動が、正確に関連づけられることが明らかになった。 2.インタビューと発話分析からは、協同学習の当事者が、発音訓練という共通の目標を認識し、協調行動をとっていたことがわかった。教師は学生の反応に合わせアプローチを変え,学生もその意図を理解し行動し、最終的には達成感を得ていた(西尾他、2009)。 3.「対話者の有無」と「課題の協同学習性の程度の違い」による影響は、脳の左右側頭部の血流量に現れる(木下他、2009)。 本実験は3月に実施されたため、データの大部分は分析途上にある。本年度は、視線、脳血流、音声、インタビューの分析を進め、条件別、課題別に、分析結果をまとめていく。合わせて、不明な点については追試を行い、総合的に考察していく。
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