研究課題
今年度は、小型断熱消磁冷凍機の整備とX線マイクロカロリメータ動作に取り組んだ。まず使用するX線マイクロカロリメータについて、TES型X線マイクロカロリメータと磁気量子型X線マイクロカロリメータの比較検討を行なった。後者に関してはまだ安定的に供給を受けられる状態には到っていないことから、TES型X線マイクロカロリメータを採用することとした。小型断熱消磁冷凍機に関しては0.1Kまで冷えることが確認できたので、保持時間や温度安定度、また可搬性も含めた計測系の整備を進めた。そしてX線マイクロカロリメータ動作の第一ステップとして、既に特性がわかっている超伝導遷移端温度計(TES)の超伝導遷移の際の抵抗と温度の関係を計測した。これにより、数ミリオームの微小抵抗を含めて遷移端の抵抗値を計測できることが確認できた。ただし、冷却能力や温度制御にまだ改善の余地があることも明らかになった。さらに、超伝導量子干渉素子(SQUID)を断熱消磁冷凍機に組み込んで動作確認を行ない、センサとして動作させるために磁気シールドや電磁シールドの準備を進めた。磁気シールド材は製作まで終えており、来年度すぐに使用できる状態になっている。当初の研究実施計画と比べると若干の遅れが見られるが、センサ動作に向けて着実に進展している。来年度は今年度の研究をさらに押し進め、小型断熱消磁冷凍機の冷却環境のさらなる改良をはかるとともに、センサ動作と放射線分析実施に向けて研究を進める予定である。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)
Proceedings of the 3^<rd> Suzaku international Conference "Energetic Cosmos : From Suzaku to ASTRO-H"
ページ: 446-447