研究概要 |
本研究は、微生物の機能を活用することを特長として、低コストで効率的な水中からのヒ素除去プロセスの開発を目的としており、二酸化炭素や重炭酸イオンを炭素源として増殖する化学合成独立栄養細菌(Chemolithoautotrophic Arsenic Oxidizers;CAOs)を用いたバイオリアクターによって吸着性の乏しいAsの吸着性を高めた後、凝集沈殿や樹脂吸着によって水中から除去する試みを行うものである。本年度は、昨年度集積系から分離したCAOsを利用したヒ素除去リアクター構築にあたって、集積系とそれを構成する菌株の特性を理解する必要があることから、その特性把握を中心とした検討を実施した。 バッチ試験で、集積系のAs(III)とAs(V)の毒性に対する耐性を確認し、As(III)に対しては、10mMまでであれば、10日以内にAs(V)へと酸化できるが、15mMではAs(V)への酸化に12日以上を要し、20mMでは酸化が認められないことを明らかにした。また、As(V)に対しては、30mMを超えると酸化能力が著しく低下することを明らかにした。したがって、As濃度に対する耐性を考慮して、リアクターを構築していく必要があることを明らかにできた。 なお、集積系を構成する菌株として、Hydrogenophagaに近縁のB1株,B2株,C株,Achromobacterに近縁のD株,Achromobacterに近縁のE1株およびE2株の6種類を分離した。亜ヒ酸酸化酵素の大ユニットをコードするaoxB遺伝子を解析した結果、いずれも既知のβプロテオバクテリアのものと類似していることが明らかとなった。
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